蜜月同棲~24時間独占されています~
朝食を綺麗に平らげてくれるのは、毎日のこと。
朝に限らず、作った食事はいつも残さず食べてくれるから、作り甲斐がある。


ぴしっとスーツを着こなし身支度を整えた彼が玄関で靴を履く。


「ゆずは、今日は一日休みだな」

「うん。あ、就活は、行くけど」


どもってしまったのは、彼の告白を聞いた今、もしかして私の就活は彼にとったらあまり面白くないのではないかと気付いたからだ。多分彼は、このまま私が彼の会社に就職して欲しいと思っているのかもしれない。


最初からどうも、そんな気がしていた。


「そうか。あまり無理すんなよ」


そう言って私を振り向いた彼は優しい笑顔だったけれど、表情からは真意は読めない。


「うん、ありがと」

「ずっとうちに居てくれたらそれでいいんだし」


けれど口はストレートだった。
焦らなくていいとは言うけれど、自分の主張は曲げるつもりはない彼に、苦笑いで誤魔化すと。


「行ってきます。早く帰るよ」


ちゅっと、頬にキス。
朝からこれで何度目だろう。


元々はからかい名目でなされていたキスは、昨夜から一気に増加した。
だけど相変わらず唇だけは避けているのは、私の気持ちを待ってからと思っているんだろう。


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