蜜月同棲~24時間独占されています~


嬉しいこと、哀しいこと悔しいこと。
たくさんの事象が重なって、私はここにいる。


それはとても、幸せな奇跡で。
生涯大切にしなければいけない縁。


「そんなに泣かれたら、誓いの前にキスしてしまいたくなる」


小さな声で囁き、宥めるように私の手のひらを彼の指が優しく撫でた。
すっと深呼吸して頷き、息を整えた。


ふたり、正面の祭壇に向き合った。
神父様の言葉を、粛々と受け止める。


式を挙げる前からとっくに、私は克己くんに全てを差し出したつもりでいたけれど。
ヴァージンロードを進みながら過去を噛み締め、ここに辿り着いたことを今はもっと、大切に思える。


「誓います」


低く静かな声で、彼が神父様に向かいそう誓った時、堪えていた涙が頬を伝った。


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