蜜月同棲~24時間独占されています~
「ここに、ふたりの結婚が成立したことを宣言します」
神父様の声で、参列席から拍手が沸き起こる。
その時、彼が私の頭を引き寄せ軽く抱きしめてくれた。
「泣きすぎ」
「……だって」
「これでやっと、全部俺のものになった」
小さく耳元で囁かれた言葉を最後に、彼が私の手を取り腕に絡ませた。
お祝いの言葉、拍手、シャッターの音が溢れるなか、彼に導かれて退場する。
『これでやっと、全部』
今日やっと、私は未来の自分も全て彼に差し出した。
彼とひとつの未来を持てた、そのことにじんわりと胸が熱くなりまた涙がこみ上げそうになる。
ヴァージンロードを戻り、扉を一歩、外に出た後。
私は、彼の腕を引いた。
「……克己くんも、全部私のもの?」
そう尋ねると、彼は一瞬目を見開いた後。
「当たり前だろ」
そう言って、突然強く私を抱き寄せ
誓いのキスよりも少し深く、唇を合わせた。
突然のことに歓声が沸き、私も驚いて身体を固くしたけれど。
観音開きの扉が徐々に閉まりゆくことに気づいて、ゆっくりと力を抜き彼に委ねた。
今日から、私はあなたのもの。
あなたは私のもの。
閉じた瞼の奥で、幼い頃泣いてた自分に語り掛ける。
いつかちゃんと、こんな日が来るからと。
彼が私を見つけてつかまえてくれる。
そんな日がくることを。
Happyマリッジ
END


