蜜月同棲~24時間独占されています~
それからすぐにインターフォンが鳴り、誰か来たのかと思ったら克己くんがデリバリーを頼んでおいてくれたらしい。
ピザやパスタ、サラダにドリンクまで、ずらっとローテーブル一杯に並ぶ。


「その顔じゃ食べに行くのも嫌だろうと思って」


くす、と笑った克己くんに言われて初めて、自分がさっき泣いたことを思い出す。


「は、早く言ってよ!」

「大丈夫、そんなに崩れてないって」


両手で顔の頬を覆って、きょろきょろと周囲を見渡す。
洗面所はどこだろうか、いやその前にと次はバッグからパウダーのコンパクトを取り出した。


「あ……良かったそうでもない」

「だろ。気になるなら洗面所で顔洗ってくる?」

「ううん、いい」


今朝、化粧をするのもやる気が起きなくて、アイメイクを殆どしていなかった。
それが良かったらしい。


ただ、泣いた後はしっかりあって、瞼や目尻が赤くなっていた。
それを克己くんは考慮してくれたんだろう。


「しっかり食べろよ。俺が作ってもよかったんだけど、遅くなるし買い物行かなきゃ材料なかったからさ」

「克己くん、料理できるの?」

「まあ、そこそこに?」


小皿にパスタを取り分けて、手渡してくれる。
なんだか途端に、空腹を感じた。


このところ、まともに食べれていなかったことを思い出す。


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