蜜月同棲~24時間独占されています~
背中合わせに、潜り込んだ。
ふかふかのベッドは寝心地はすごくいいけど、背中から体温が伝わって来そうな気がして、身体は固くなる。
けど、きっとそのうち慣れるだろう、とぎゅっと目を閉じて眠ろうとした。
「……子供んとき」
「えっ?」
急に話しかけられ、目を開ける。
振り向くことはしないままで耳を傾けた。
ベッドは静かなままで揺れたりもしてないからきっと克己くんも背を向けたままだろう。
「お前、よく夜中トイレに起きてさ、静香に一緒に行ってくれって頼むのに、なかなか起きてくれなくて泣いてたなと思って」
静香、というのはお姉ちゃんの名前だ。
いきなり子供の頃の話を持ち出されて、恥ずかしさのあまりに思わず後ろを振り向いた。
「な、何いきなり思い出してんの! 仕方ないでしょ、克己くんち広くて怖かったんだもん!」
確か私がまだ低学年くらいの頃、よく母に連れられ姉も一緒にお泊りをして、克己くんの部屋でお布団を敷いてもらって眠った。
うちのこじんまりとした一軒家と違って、克己くんちはさすが、広かった。
子供部屋の他にゲストルームなんかもあって、廊下も長い。
起きてくれない姉に困って泣いていると、克己くんが起きてトイレまで一緒に行ってくれたのだ。
「夜中目が覚めたら言えよ、ついて行ってやるから」
「もうトイレくらい一人で行けます」
こっちを見ない克己くんの背中が揺れている。
どうみても笑っている。