蜜月同棲~24時間独占されています~


「えっ……自分で食べてよ」

「俺まだ手も洗ってないし」



そう言われ、渋々白和えを少し菜箸でつまみ、克己くんの口元に持っていく。
なんだか変にドキドキして箸が震えてしまったが、なんとか落とさずに済んだ。


ぱく、と克己くんの口が菜箸の先を咥える。


「……ど、どう?」


ちょっと声が震えてしまった。
こんなこと、彼氏としかしたことがない。


もぐもぐ、と克己くんが数秒無言で咀嚼し、こくんと飲み込む。


「うん。美味い」


そう言って、ぺろっと唇を舐めた表情が、きっと無意識なのだろうけれど物凄く綺麗で色っぽい。
俯いて料理の準備をするフリで目を逸らしてしまった。


「よ良かった。じゃあ食卓に運んでおくから、着替えて来て」

「ん。やっぱいいな、こういうの」

「え?」


何が、と問い返す前に、すぐ傍、耳元の近くで低く優しい声がした。


「帰ってきて、人の気配があるっていうの、いいね。手料理も助かる」


そして、ちゅっとこめかみの近くで音がして、頭が揺れた。


「ありがとな」



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