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そんな事にすらここにきてようやく気付いたわたしは、すっかり油断していたのだと思い知らされる。

話が弾んだこともあり、わたしは自らハル先輩との間に存在していた距離を詰めていたらしい。

無意識とは言え、普段ならあり得ない自分のその行動に愕然とする。

そしてその距離をハル先輩がさらに詰めた事で、二人の間には人一人分ほどしか隙間がなくなる。


「俺に責任感じさせたくないなら送らせてよ」


その瞬間、断る口実を失い退路が断たれる。

断ることを諦めて、ここは素直に送られておいた方がいい様な気がした。


「——す……、」


”すみません。お願いします”と、口にしかけてやっぱりやめる。

ハル先輩なら謝罪より感謝を口にした方が何となく喜んでくれる様な気がしたから。


「あ、ありがとうございます。お願いします」

「ん。いい子」


会釈程度に下げた頭に、その瞬間重力が増す。


「……っ、」

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