俺様社長ときゅん甘同居
告げられた言葉に拓さんらしさを感じる。
尋ねて返事を貰うのではなく、疑問形で聞きながらも有無は言わせない感じ。

優しいけど強引な拓さんらしさに、自然と笑みを浮かべながら答えた。

「はい。よろしくお願いしますね、拓さん。ちなみに返品不可ですよ?」

おどけて言いながらも、私の本音を織り交ぜたその言葉に

「当たり前だ。晶子、俺の事も返品不可だし、受け取り拒否も却下だ。どこまでも愛する自信があるよ?好きが日々募ってくんだ。だから、安心してここに居て」

心の底からの本心をさらけ出してくれる拓さんに、私はここに来て初めて自分から拓さんの腕の中に入った。

「ここは、私だけですよね?」
「未来は分からないが。この先希望的な未来が起きるまでは、ここは晶子が独り占めだな」

クスクスと紡がれた言葉の裏に隠された具体的な将来を連想する言葉に、私は安堵の息を零す。
初めから言っていた。
この人は私を離したくないから全力で掴まえに来ると。

「はい、拓さんの考えが嬉しくて仕方ないです。大好きです」

その背に私は腕を伸ばして、ギュッと抱きしめた。
大切になるとその人を抱え込みたくなる事を、私はその日初めて知った。
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