極上の愛をキミへ
『最後に、握手しようぜ』


吏斗はそう言うと、あたしの前に手を差し出す。

この手を握ったら、本当に吏斗とお別れだ。

そう思ったら、躊躇してしまった。

最後くらい、良い彼女で居よう。

そう自分に言い聞かせ、吏斗の手を握った。

その手をグイッと引っ張られ、吏斗の腕の中に納まる。


『ごめんな、泣かせて』


自分でも気付かぬ間に、どうやら泣いていたようだ。

そんなあたしの頭を、吏斗は最後に優しく撫でてくれた。


『もう、大丈夫』


あたしは、吏斗から離れる。


『元気で』

『結衣も』

『さようなら、吏斗』


必死に笑顔を作り、吏斗に背を向け、足早に自分のアパートへと駆け込んだ。

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