極上の愛をキミへ
一階に降りると、リビングで寛ぐお母さんの姿。


「結衣?」

「急だけど、あたし帰るね」


あたしの行動に、お母さんを驚きの声を漏らす。


「これから?」

「うん。まだ、間に合いそうだから」


何か言いたげだったが、あたしの様子を見て、お母さんは何も聞かなかった。


「気をつけてね。また、帰って来なさい」

「ありがとう」


そしてあたしは、慌ただしく実家を後にした。

タクシーからバスへと乗り継ぎ、目的地に着いたのは朝方だった。

バスから降ろされた場所は、潮風に包まれて居た。

その町はあたしの高校の卒業祝いで吏斗と一緒に行った、最初で最後の旅行の場所。

前までなら切なく沈んだであろう気持ちが、今は少しだけ弾んだ。

それは吏斗の気持ちを知ったからなのだろうか?

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