極上の愛をキミへ
そしてあたしは、また1つ年を重ねる。


『ハッピーバースデー、結衣』


え?

居るはずのない吏斗の声が耳に届き、顔を上げると、そこには吏斗がいた。

正確に言うと、22歳の吏斗の姿がプロジェクターで壁へと映されていた。


『驚いた?』


イタズラっぽい笑みを浮かべる吏斗の言葉通り、あたしは心底驚いていた。


『来てくれるか、不安だった。でも、ちゃんと最後は自分の口で結衣に残したかった』


あたしは吏斗の元へと、ゆっくり近く。

そして、吏斗へと手を伸ばす。

もちろん、吏斗の温もりを感じることはできない。

それでも、もう吏斗と会えないと思っていたから、吏斗がそこに居るだけで嬉しかった。

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