極上の愛をキミへ
「足りるけど・・・」

「専務にご馳走になる理由もないので。受け取ってください。ご馳走様でした」


あたしは言い捨てるようにその場を後し、専務の後を追う。

専務は用意していた車に乗り込むところで、待たせぬように小走りであたしも車へと乗り込んだ。

走り出す車内で、特に会話を交わすことなく、車は会社に辿り着く。


「次のお約束まで、少しお時間がありますので、お休みください」


エレベーターの中で要件を告げ、部屋まで専務を見送り、自分のデスクへと戻る。


「また、今月も来たね」


隣のデスクで、同期だが、あたしよりも長く秘書課にいる相澤が小声で話しかけてくる。


「来たね。相澤の力で、役員会無くしてよ」

「常務の秘書ごときに、そんな力あるわけないでしょ」


でしょうね。

< 48 / 285 >

この作品をシェア

pagetop