極上の愛をキミへ
__グイッ__


誰かに腕を掴まれる。


「大丈夫かよ」


声のする方に視線を移すと、そこに居たのは専務だった。


「ありがとうございます。でも、大丈夫ですので」

「全然、説得力ねぇんだけど」


正直、今は誰にも絡まれたくない。


「すいません。すぐに戻るので、専務は中に」

「戻らなくて良い」


あたしだって、戻りたくなんかない。

地獄の時間だが、今は仕事中だ。

社会人として、業務を全うしなければイケない。


「大丈夫です。自分の仕事を投げ出すような、無責任な人間になりたくないんで」

「強情な奴だな」

「好きなようにおっしゃって下さい」


あたしは、専務の腕を払い除ける。

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