あ、あ、あ愛してる「君に伝えたい思いをこめて」
『まあね。確かにヤバかった。エマとトニーの間で俺もけっこう頑張ったんだ。あのままだと、指がダメになるのは遠くないし、メンタルがもたないと思ってた』

「お前はトニーって奴を見限ったということだよな」

『そう。エマには可哀想なことをしたけれど、間違っていたとは思わない。エマもトニーと離れるのが正解なんだ。彼女はもっと自信を持っていい』

「だよな。練習始めようぜ」

手話で話せば、こんなにもスムーズに会話が進むのに。

言葉に出して話すと上手くいかない。

わかっていたことだ。

逃げないーーそう決めたはずなのに、折れそうな気持ちだ。

「エマだけじゃない。お前もだ、和音。ちゃんと話せまいが話せようが、お前はお前だし、LIBERTEの綿貫和音だ。自分を信じろ」
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