偽りの愛言葉
「よしよし。ゆっくり深呼吸しよっか。」


そっと包み込めるように抱きしめた。


「そうそう。落ち着いてきたね。」


少しは安心したのか息が荒くなくなった。


なんか嬉しい。


俺に頼ってくれてるみたいで。


「…ごめんなさい…っ。」

「いいって。全然。」

「私なにやってるんだろ……」


申し訳なさそうに俯く。


「辛かったんでしょ?」

「そんなこと……」

「強がんなくていいって。泣きたい時は泣けばいいじゃん。別にさ。」


泣いたって、なんも恥ずかしくない。


むしろ好き俺は。


感情が豊かなほど人間らしいし。


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