父の遺した日記
高校1年 秋

梨里side

「本日は来てくださってありがとうございました。」

世の中にこんなにもしっかりした高校生がいるだろうか。と自分でも思う。
小学6年生の頃に体の弱かった母が亡くなってから、家事をこなし父と二人で暮らしていた。
父は仕事柄海外に行くことが元々多かったが、母が亡くなってから悲しみを忘れようと仕事に打ち込んだ。中学に入ってからはほとんど一人で過ごしていた。父は働き過ぎたのだろう。体を壊してしまい私が中学3年生の時に入院した。すぐに良くなるよ、父はそう言っていたが治ることはなかった。末期の癌だったらしい。そのことを知ったのは父が亡くなった後だった。優しい父だった。きっと私を悲しませたくなかったのだろう。父自身も良くなると信じたかったのだろう。

寂しさ、悲しみ、孤独

強がっていないと倒れそうなくらいの感情が私の心に溢れていた。どんなにしっかりした子だと言っても私はまだ高校生だから、泣いたら止まらなくなってしまう。父にとっての家族は私だけだし、私が泣き崩れたりしたら葬儀は進まなくなってしまう。

いっぱいいっぱいだった。気づいたら、葬儀は終わり、家で1人で泣いていた。

父の葬儀からしばらくして、遺品を整理していた時、父の日記を見つけてしまった。内容は私にとって衝撃だった。父と母が私についた大きな大きな秘密を知ってしまった。
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