月が綺麗ですね
雷(いかずち)とは荒々しい、と大蛇(おろち)が語源らしい。それは古来天変地異の前触れとして人々を恐れさせたようなのだけれど...。

今まさに私にも天変地異が起こっていた。

天地が逆さまになっている。


背中にはゴツゴツとしたものがあたり、デスクの上に重ねられていた書類は私たちが巻き起こした風に舞い、コーヒーカップが倒れ床へ落ち激しい音を立てて砕け散った。


私はデスクの上に倒されていた。

両手首は押さえられ、目の前には私に覆いかぶさっている副社長の顔があった。


「もう一度言ってみろ」


その瞳に優しさはない。甘くもない。

鋭く光る切れ長の目が私を睨んでいる。



「.....」

「俺が飯塚にも同じようなことをしているだって?」


低い声が耳から入ってくる。私は恐くなって思わず顔を背けて瞼をギュッと閉じてしまっていた。
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