月が綺麗ですね
「ねぇ、あんた指輪しなくなったのね?」

「ええ、みんなから『どうしたの?彼氏にもらったの?』って聞かれて、答えるのが面倒になったので外しました。うかつに指輪なんてするもんじゃないですね」


それは...悲しい嘘。


私はあの日、彼の枕元に置いて出て来た。


「あんたがどんな恋をしているか分からないけど、後悔だけはしなさんな」


私は北林さんの瞳を見つめた。


「後悔...ですか?」

「そっ。進藤ちゃんが彼を好きだったら愛をつらぬきなさい。とことん愛して愛しぬきなさい」

「.....」

「でも、やっぱり愛人はあんまりお勧めできないけどね」


北林さんは笑う。

それは素敵な笑顔。

本当に吹っ切れたんですね。社長とのこと。


「三浦さんと、三人で送別会しましょうね」

「ありがとう」


それからしばらく私たちは無言で風に吹かれていた。



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