シンさんは愛妻家
数日後、

「これって私のですか?」

と明るい色のハイネックのセーターや、ブラウスや、

それに似合う動きやすそうなカジュアルなパンツを

数枚買って帰ると、驚いた顔を僕に向ける。

だって、
首の隠れるデザインのセーターを洗濯しながら何度も着てるよね…

そうレパートリーはなさそうで、
でも、キスマークはまだ、消えそうになくて…

とりあえず店員さんのオススメ通りの首の隠れるデザインの服を買い揃えてみたんだけど…



「これを着れるのはイブキしかいないって思うけど…
いらないならタビィのオモチャに…」


「い、要ります。欲しいです!
タビィには渡しません!!」

と紙袋のガサガサと言う音に興味津々のタビィを押しのけ、服をギュッと両手で抱きしめている。


「サイズいいかなって思って買っんだけど…
後で確認してね。交換できるから…」


「…ありがとうございます。大切にします」

「それは普段着だから…普通に着て。
デートの時に着る服は今度一緒に店に行って買おう」

「でも、…それってお金が…」

「…オトナをなめてもらっちゃ困る。
君の服を買うくらいじゃ、僕の貯蓄は減らないよ。
…去年…要らない臨時収入もあったし…
だからね、お金を使いたいんだ。」

「ボーナスじゃなくて?」

「そう。要らないお金」

「…それってイケナイお金ですか?
脱税とか、献金とか!?」

なんでそうなる?

「…政治家じゃないんだけど…?」

イブキの顔は曇ったままだ。

いや…しまったな

つい…グチが…





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