拘束時間   〜 追憶の絆 〜
 デパートのシンボルであるライオン像に見送られながら店を出た私達は、店外にある螺旋状のスロープを下って彼の車が駐めてある、地下駐車場へとたどり着いた。

 優斗の愛車は最高時速300㎞以上も出る車でありながら、決して彼がスピード狂に変貌することはない。

 私を助手席に乗せている彼は、今日も安全運転で外国製のスポーツカーを運転する。

 「相変わらず、沙綾は細いね。美味しいものをたくさん食べさせて、もっと太らせないと」

 さっき私をデパートのエントランスで抱きしめた時、なんなく腕の中に収まった私に対して、彼は言った。

 「えーっ!ダメッ!大福みたいになっちゃうっ!」

 「俺としては。抱きしめた時に、モチモチして気持ちがいいと思うけど......」

 「今は、”ごぼう”みたいでつまんない?」

 私は頬を膨らませて、むくれたフリをする。

 でも、彼は全部分かってる。

 私が甘えてるってことが......。

 「俺の腕の中にすっぽり収まって、かわいいよ。......すごく」

 あざといまでに、私の胸を”キュン”と鳴かせる彼 ーー。

 それでも。まんまと寄り添ってしまう私。

 信号待ちの間、私達は手を繋いで交差点を行き交う人々の群れを眺めていた。

 空は間もなく黄昏時を迎え、月が昇る頃には次第に気温も下がり始める。こんなにも明るい都会の真夏の夜でも、一度路地裏を覗けば真っ暗で寂しくて無性に人恋しさを誘われる。   

 信号が青に変わる瞬間、

 ”チュッ!”

 という、軽快なキスの音が車内に響いた。

 「家に着いたら。沙綾の頭から俺の事が24時間、離れないようなキスをするから覚悟して......」

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