拘束時間 〜 追憶の絆 〜

　いつか、彼と家族になって。今繋がれている私達の手の間に小さな手が繋がれて、その手を架け橋として彼と私の手が繋がれる日が必ず来る。

　私は根拠のない確信が湧いた。

　優斗は、私が傍にいればそれでいいと言ってくれたけど、

　分かってる。本当は私の気持ちが１００%自分に向くことを彼は願ってる。

　確かに今はまだ。私から彼への愛は、１００%とは言い切れないかもしれない。

　だけど、９９・９９９９９%以上。私は彼に恋してる　ーー。

　そして、こうしている間にも。一秒、一秒、時間が経つ毎に彼への想いは満ちて行き、

　ーー　私は、きっと。彼と結婚する。

　そういえば......、

　優斗は、自分の家族の話をほとんどしない。

　彼のお父さんに、お会いしたことはあるけれど。それは偶然で......。

　それから、優斗とお父さんは見た目が全然似ていない。

　でも。彼のお父さんは誰かと似てる。

　それに、私は以前も優斗のお父さんと、どこかでお会いしたことがあるような気がする。

　気のせい？

　そういえば、名刺を下さった......。

　家に着いたら、もう一度よく見てみよう。

　名前で思い出すかもしれない。

　ところで。優斗はどうして、自分の家族の話を全然しないんだろう？

　家族の話だけじゃなくて、優斗は子供の頃の思い出話もほとんどしない。

　大財閥の御曹司として育った優斗のことなら。ごくごく普通の中流家庭で育った私が驚愕するような、優雅で贅沢な思い出話が”ごまん”とあるはず。

　それなのに。彼から、そういった類の話を聞いたことがない。

　それから不思議なのは。確かに五つ星レストランの常連客だったり、優に数千万円はくだらない外国製の高級車に乗ってはいるけど、それ以外は中流家庭に育った私と物質的な価値観の差は感じない。

　彼はコンビニにも行くし、古本屋にだって行く。

　優斗は私が想像する。大財閥の御曹司のイメージとは、どこか違うアンバランスな面を持っている。