真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
「何か飲み物用意しないとね」

「ワイン?」

「いや、アイスコーヒーにしよう? 酒飲んだら、風呂入れなくなるし」

広務さんはそう言うと、涙袋を膨らませた愛嬌のある笑みで私を見つめ、髪に”ちゅ”っとキスを落としてからソファを離れた。

私が選んだ映画の上映時間は、およそ2時間。彼は私を腕に抱きながら、決して短くない時間スクリーン越しに展開されるラブストーリーを追う。そう思うと、どうにも無事にエンドロールまで辿り着けるかがあやしい。

徐々に濃密になってゆく劇中の恋人達に触発されて、なし崩し的に抱かれてしまうのだけは絶対に避けたい。

私は彼の腰掛けていた痕跡の残るソファの上で、これから始まる彼との時間に思いを巡らせながら膝をかかえていた。

相変わらずシンプルで閑静な広務さんの部屋。灯りを落として大画面のテレビにラブストーリーを映したら、そこはもう、現実世界ではなくなり余計なものは一切目に入ってこない。生活のしがらみも、仕事も頭の中から消え去って、今、目の前に展開されている彼との甘い時間が人生の全てだと感じるだろう。

私は甘ったるい気分で膝をかかえたまま、彼が座っていた方向に身体をコトンと横たえた。

「優花〜、寝ないで〜」

ソファに横になって、真っ暗なテレビを見つめていると、足元から彼の”のんびり”とした声が聞こえた。

私は、ムクッと起き上がり彼を見据えた。

「はい、アイスコーヒー淹れてきた。映画見よう」

「うんっ。コーヒーありがとうっ」

「優花が寝ないように、コーヒー飲ませないと。夜は長いからね......」

「広務さん、エッチ」

「好きな女(ひと)の前では、男は皆。そうなるよ」

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