真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
お互いをかけがえのない大切な存在だと信じてくれている、彼の情感溢れる言葉に胸が詰まった私は、しっかりと私を抱きしめる彼の頼もしくて逞しい両腕にギュッと掴まり頬を寄せた。

彼は私が、より一層腕の中に収まろうと身体を丸めたことが分かると、交差させていた腕の一方を私の腹部まで降ろして、グッと自分の胸元へ強く引き寄せ、完全に二人の身体の隙間を無くした。

密着した私達の身体は熱を帯びて、少し呼吸が浅くなった。

私達の息遣い以外に、この部屋に響く音は白壁に掲げられた、ガラス時計の秒針の音だけ。秒針の音を辿り時計に目配せをすると、時間は夜の九時を回っていた。

この時間ともなれば、ぼんやりと白く東から昇った月は今頃ラスト・クウォーターに姿を変えて、藍色の空にベールのような淡い輝きを灯している。

優しい月明かりに導かれた恋人達の時間には、恥じらいも戸惑いも忘れさせる、特別な魔法が架かっている。

「優花......」

「うん......?」

浅い呼吸を繰り返す彼の唇から発せられた声は熱く濡れていて、私は彼が本能をより覚醒させるように、あえて子猫のような甘えた声音で小さく返事をした。

広務さんは私の声を聞いた後、少しばかり間を空けて、私を抱きしめる長くて逞しい腕をソファの真向かいのガラステーブルに伸ばした。

それから彼は上体を起き上がらせて、ガラステーブルの上に置かれたテレビのリモコンを手に持った。

私は予想に反した彼の行動に、高揚していた気持ちが平常に戻った。

「じゃあ、映画始めるよ」

ほんの数分前までは、恋人をベッドへ誘うように呼びかけていた彼の声は、今は熱も引き、カラッとしている。

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