真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
彼が私の何気ない一言を拾い上げてくれて、私は彼に愛されていると思った。

彼に小さな子供をあやすかのように話されて、気持ちが和んだ。

自分は、もう十分大人だと思っていたのに......。

私が内観しながら、じっとバスタブに浸かっていると、動きのない湯船の中でアヒル隊長は、とてもつまらなそうにしていた。

私は黄色いアヒルを再び回遊させようと、静まり返っているミルク色のお湯を扇ぐように、両手で自分の身体へと引き寄せた。

いつの間にか、少女から女へと成長していた私の身体。

鎖骨からデコルテにかけての平坦な肌は次第に、なだらかに隆起して行き、上半身の中央に自然な、ふくらみを捉えることができる。

一見、大人の女の象徴のような、この”ふくらみ”の中に長い間詰まっていたのは、寂しさと悲しみ、それから不安。

そんな、在りし日の少女の記憶を心の傷として女の身体の中に、かかえ込んで苦しんでいた私を広務さんは慈しむように抱きしめて温めてくれた。

彼の腕の中で温められた私は、ずっと溜まり続けていた黒くて重たい鉛のような”わだかまり”が、愛情という熱に溶け出して身体から涙となって流れ出した。

ようやく涙が乾いて留まり続けていた孤独の腫瘍が消え去った時、私は彼の腕の中で少女から女へと成長した。

長年、得られなかった、ぬくもりと安堵感を手に入れた私は、その時から彼を早急に求め出した。

......そして、

過ちは実行されたーー。

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