真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
「日本で入籍して、ニューヨークで結婚式を挙げようーー」

瞳の奥に力を込めて、悠然と語る広務さん。

彼の情熱と決断が強いほど、私の胸の切迫感は至死量に達した。

「......でっ、でもっ......!いくら私がお茶汲みOLだからって、そんな急には仕事やめられないし.....」

蒼白させた顔に寒い汗を滲ませながら、雪崩のごとく拒絶的な言葉を並べ立てる私に広務さんは、それまでの確固たる意思を僅かに、ぐらつかせたような苦悶の表情を見せて口を噤んだ。

「......」

私は無言の彼の揚げ足をとるように、口撃を続けた。

「確かに、広務さんからしたら私の仕事なんて、私なんて......、本当に、ひ弱な立場で、誰でも出来るような、誰でもいいような、どうでもいいような仕事しかしてないかもしれないけど......、でもっ、私は、私は......っ!」

ーー仕事に置き換えて、私は自分自身の事を訴えていた。

負い目を感じていた......。広務さんに対して何もかも。

端正なルックスから彷彿させる彼の想像通りの品性のある人格、相応しいスペック、高い能力を表すような収入。

こんな男性が、どうして私なんかと結婚しようと思ってくれているんだろう......。

広務さんと私の立場には雲泥の差がある。

広務さんは、選ばれし人間。一方私はーー実の母親にすら選ばれなかった。捨てられた。愛されなかった......。

払拭したはずの感情が蘇った。

その恐怖と呼ぶに等しい感情は、あの夜に犯したジークとの一夜に結びついた。

いつかは捨てられる。私みたいな女。寂しさと不安を消したい。温もりを求めたい。

だから私はジークと寝た......。

自傷的な感情が溢れ出して止まらない。

暴走そうする感情そのままに、私は彼に吐き出した。

「ごめんなさい......っ! 帰る!」

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