真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
ベッドサイドに置かれた辛口の缶酎ハイを手探りで引き寄せて、寝そべったまま乱雑に口元に運ぶ。

案の定、お酒がベッドに溢れて、染み出した冷たいアルコールが頬を濡らした。

どうでも良いな。だって、これは自分のベッドじゃないし......。

ジークから衝撃的な話を聞かされた私は、彼の部屋で、しばらく放心状態に陥った後、とてつもなく自傷的な衝動にかられた。

広務さんにとっての私という存在が、とても滑稽に思えて居たたまれなかった。おそらくジークも心の奥底では私を憐れな女と思いっているに違いない。

”この場から消えてしまいたい”

そう思った私はジークに、か細い声で「帰る......」と放ち、彼の部屋を後にした。告げるべきことも告げずに.......。

そうして行き着いたのは、自分の部屋ではなく安いビジネスホテル。

私は投げやりにチェックインを済ませると、ロビーにある自動販売機で缶酎ハイを買い、稼働するたびにロープの軋む音が響く古めかしいエレベーターに乗り込んだ。

例えば。ここでエレベーターのロープが切れて、地面に叩きつけられても構わないという自暴自棄な心境。そして、手には缶酎ハイ。

妊婦が、アルコールなんて絶対に御法度。そんなの分かってる。でも、私は.......、

”妊婦じゃない”

ーー私は妊娠していなかった。

「妊娠......は、していません」

昨日、婦人科医に告げられた。

「検査薬の判定は100%ではありませんから、ごく稀に偽陽性が出ることもあるんです」

「.......そうですか」

私は、それ以上の言葉を噤んだ。

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