真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
”同じ気持ちーー”

広務さんの誠実な愛情が紡いだ言葉に、私は胸が甘く切なく締め付けられながら、彼と私の気持ちが完全に隔絶されている事を知った。

”私は彼を欺いている”胸が潰れそうな苦しみを抱えて、私は独り暗く冷たい部屋で週末を過ごした。 

たとえ、どんなに暗く塞ぎこんでいても、夜は明けて太陽が昇る。気持ちの整理がつかないまま、私はついに広務さんが帰国する月曜日を迎えた。 

様々な思いが頭の中で渦巻き、胸の内をざわざわと波立たせている。

こんなに不安定な精神状態では、とても会社に行く気にならない。

それでも。最後までは知る事が出来なかったけれど、広務さんの腕に抱かれた思い出が私の身体に熱を灯し、耳に残る、私を求める広務さんの声に想いを揺さぶられて、私は先へ進む事を決意した。

怖くて、先の事は考えたくない。でも、”彼に会いたい”

不毛かもしれない未来を忘れるために、今日は無心で働き、時間になったら彼に会いに行く。

私はいつも通りに出社準備をすると、いつもより早く部屋を出て、ジークには会わないようにした。


「おはようございます」

「優花、おはよー」

「日野さん、おはようございます」

就業時間よりも早くオフィスに着いた私を出迎えてくれたのは、他の社員が出社してくるまでの間、束の間の社内デートを楽しんでいたオフィスラブカップル、同期の実加と時期課長候補の横澤さんだった。

私が早く出社してきたばっかりに、二人きりの時間を邪魔してしまった事を悪く思うと同時に、今日は早めの電車に乗ったからといって真っ直ぐ出社せずに、どこかのカフェで時間を潰せば良かったと思ったのは、広務さんへの気持ちと、ジークとの過ちをかかえた今の私には、順調な交際を続けるカップルの姿を見るのは辛いから。

「横澤さん、これ......」

「ああ、ありがとう」

相変わらず実加と横澤さんは仲がいい。

仕事中も他の社員に気づかれないように、アイコンタクトをして微笑み合っている二人の様子が運悪く目に入り、私は胸が強く締め付けられて苦しくなった。そして、苦しい胸に広務さんの姿を鮮明に思い描いた。

広務さんを乗せた飛行機は、もう日本に着いたのだろうか?

私は仕事の合間に、そっとスマホを見た。すると、広務さんから日本への帰国を知らせるLINEが届いていた。

「ただいま。長い間、寂しい思いをさせて本当に、ごめん。今日は、朝まで一緒にいよう......」

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