【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
「ここに、ハンコ下さい」
「デートしてくれる?」
「…。じゃ、このまま課長の机に持っていくからいいです」
「ほんと、お前はつれねぇのな」
「魚じゃないんですから、釣れなくていいです」
ふい。
最近、愛しくて、触りたくて、仕方が無くてわざと置いている比較的身近なポジション。
彼女からは、少しの戸惑いと期待が伺えるが、それのどちらが本物なのかどうか…知り得る決定打が無かった。
「さてと。皆さん、お茶にしましょ?」
10時とお昼と3時に彼女は必ず、お茶の準備をしてくれる。
それは、誰に頼まれた訳でも無いのにもう定番になってしまった事。
なんでか知らないが、他のメンバーが淹れたものより、美味しいと評判で、俺は補佐の特権として…課長を差し置いて…彼女のコーヒーを一番最初に受け取る事にこぎ付けた。
駄々を捏ねる子供かっての…。
彼女からの愛情を一心に注がれたい。
膨れ上がった想いは、俺をより一層、禁欲の世界へといざなった。
他のどんな女よりも…彼女だけが欲しかったから。