【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜
「ちょ、補佐にそんな事させられません!」
食い下がる彼女。
でも、俺も引かない。
「火傷でもしたら、大変だからな」
「もう!しませんよ!そんなドジじゃないですもん!」
そう言ってから、彼女は彼女なりに申し訳ないと思っているのか、俺の手元から俺の分のカップを取り上げると、
「じゃあ、これだけでも、持って行きます!」
と息巻いた。
たかだか、コーヒー1杯で何をそんなに…と思う奴もいるかもしれない。
だけど、俺も彼女も無類のコーヒー党。
寧ろカフェイン中毒。
だから、このブレイクタイムは有効利用したい。
俺は、他のメンバーにその邪魔をされたくない。
彼女は、お茶を入れるという職務を全うしたい。
そんな小さな…というか、一方的にも近い攻防戦。
「補佐ってば!」
「いーのいーの。俺等は大原補佐から受け取るから」
「…丹下さん、すみませんー…」
「なんで、お前が謝んの?悪い事してないだろ?」
「ていうか、補佐が悪いんですよ!」
ぽかぽか
叩かれても、痛くも痒くもないのに。
「いてて。分かった分かった。俺が悪いよ」
なんて片目を瞑るも、そんな顔しても駄目、と言う風に両腕を胸の前で組んで、俺の事を見上げてくる。
「ひーさーくーら〜?許して?」
「…っ。も、もういいです!怒ってないので!」
自分のデスクに腰掛けて、彼女の視線と自分の身長を合せてから、俺も彼女に負けじと、少し潤んだ瞳を作ってみせる。
それだけで、簡単に許されるってことは…もう、答えは出ている筈なのに、な。
ちっとも先に進めない。