【完】溺愛恋愛マイスターにぞっこん?! 〜仔猫なハニーの恋愛奮闘記〜

「よし。んじゃ、ま。これから打ち合わせだー。お前ら、ちゃんと各自持ってる資料に目通しておけよ?」

「はーい」


ぱんっ


手を叩いて、場の士気を高める。
そして、休憩時間との線引きをした。


彼女も、それを聞くとこくりと頷いて、自分のデスクに戻って行った。

俺の真ん前の、その席に。


仕事中に伺う彼女の表情は、俺とのやり取りをしている時とは丸きり別人。


切り替えが早いってある意味、凄いな…。
そう思ってから、嗚呼、それは俺もかと苦笑する。


一度仕事に戻ってしまえば、周りなんて気にならなくなる。
雑音が消えて、頭の中が仕事の事で目一杯になっていく。

…普段なら、そうなる筈が。

わざとらしく、視界に何時も入るようにと目の前の席にしたせいなのか、パソコン画面を見つめていれば、自分が見られているような気になるし、頬杖を付いたりペンを回して上目遣いで何かを思案していたり…それはもうなんというか、気になって気になって仕方が無い訳で。


「ひさくらー」

「はい?」

「や、…なんでもないわ」

「…は?」


そんな会話を日に何度も交わす。
課内のメンバーは、俺が彼女を構ってる内は自分に余計な仕事が回ってきたり雷が落ちて来ない事を、よく知っている。

皆、公認なのに、本人だけがその事実に気付かない。
というか、気付いているのに、認めてない?


風のウワサで、「久倉の元カレ」という奴の話を聞いた事があるけれど。
もしかして、それが原因なのだろうか。
未だに、その男に…少しでも未練があるのだろうか?


「むかつく…」


そう呟いておいて、自分に驚いた。
なんで、むかつかなきゃならないんだ。
この俺が?
そんな昔の男なんかに。

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