私、今日からお金持ち目指します？

「富裕層のパーティーがどれだけ過酷か、体験して下さい」

「ワクワクするわね」と日下部さんは無邪気に言うが、私は彼が楽しそうにすればするほど、彼の思惑が何なのか分からず、不気味に思えて仕方ない。

「ああ、それから」と上条勝利がニヤリと笑う。

「本来なら、自ら気付いて頂きたかったことですが……今回はマスケラ付けているので、先に申しておきます」

何！　まだ何かあるのかと思っている横で、「マスケラ？」と山下さんが日下部さんに訊ねる。仮面のことだよね、と思っていると、彼女がそう答える。

「仮面を付けていても、美しさが際立っている人々が富裕層以上の方々です。一目で違いが分かると思いますが、違いを大いに感じ、刺激を貰って下さい」

「それは、先ほどからの言葉を総合して、健全な心身は美しい、と言うことでしょうか？」

マダム京極が訊ねると、上条勝利が嬉しそうに微笑む。

「まさに、その通りです。富裕層は自身を美しく保つことに余念がありません」
「忙しいのに？」
「彼らは優先順位を付けるのが実に上手いのです」
「それは、自分に今、何が一番大切か考えろ、ということですか？」

芦屋君の質問に上条勝利が頷く。