君の思いに届くまで
「ヨウが辛そうにしている顔を見てることが俺には堪えられない。俺の名前を呼ぶのが辛いなら言わなくていい」
泣きすぎてむせかえる。
しばらく、琉の胸を借りて泣いた。
こんなにも泣いたのは何年ぶりだろう。
琉の元から帰る列車の中で泣いて以来じゃないだろうか。
少しずつ車中に日の光が差し込んできた。
足下に当たる日差しが暖かい。
そんな暖かさを感じながら、私の心も涙も落ち着きを取り戻していく。
「ヨウの悲しみや葛藤を分かってあげられなくて悪かった。もう言わないよ。二度と言わない」
琉の体がそっと私から離れる。
そして、私の髪を優しく撫でてくれた。
「帰ろうか」
「はい」
車はゆっくりと発進した。
駐車場に駐車していた車も少しずつ出口へ続く波を作っている。
その波に乗りながら私達の車も動物園を後にした。
いつの間にか真っ赤な夕焼けが街を彩っている。
「こんなに真っ赤な夕焼けは久しぶりだな」
そう言う琉の横顔もオレンジ色に染まっていた。
「雨上がりの夕焼けだからでしょうか?」
「うん、そうだね。さっきの雨で空気はとても澄んでいるはずだから、夕日の色も鮮明になるのかもしれない」
さっきの豪雨も、豪雨の中の抱擁も嘘みたいに穏やかな今に現実感が全くなかった。
琉はこの今をどう感じているんだろう。
泣きすぎてむせかえる。
しばらく、琉の胸を借りて泣いた。
こんなにも泣いたのは何年ぶりだろう。
琉の元から帰る列車の中で泣いて以来じゃないだろうか。
少しずつ車中に日の光が差し込んできた。
足下に当たる日差しが暖かい。
そんな暖かさを感じながら、私の心も涙も落ち着きを取り戻していく。
「ヨウの悲しみや葛藤を分かってあげられなくて悪かった。もう言わないよ。二度と言わない」
琉の体がそっと私から離れる。
そして、私の髪を優しく撫でてくれた。
「帰ろうか」
「はい」
車はゆっくりと発進した。
駐車場に駐車していた車も少しずつ出口へ続く波を作っている。
その波に乗りながら私達の車も動物園を後にした。
いつの間にか真っ赤な夕焼けが街を彩っている。
「こんなに真っ赤な夕焼けは久しぶりだな」
そう言う琉の横顔もオレンジ色に染まっていた。
「雨上がりの夕焼けだからでしょうか?」
「うん、そうだね。さっきの雨で空気はとても澄んでいるはずだから、夕日の色も鮮明になるのかもしれない」
さっきの豪雨も、豪雨の中の抱擁も嘘みたいに穏やかな今に現実感が全くなかった。
琉はこの今をどう感じているんだろう。