君の思いに届くまで
「今度の日曜、学生達何人かに誘われてキャンプに行くんだ」

「そうなんですか?学生達って?」

「ほら、いつも質問しにくる女学生達だよ」

相変わらず人気のある琉は新学期始まってそうそうだというのにキャンプにまで誘われていた。

「ヨウも一緒に行こう」

「え?それは・・・」

「俺と女学生達だけっていうのもおかしいし、君がいてくれた方が俺も女学生達にもありがたいと思うんだ。来週の日曜の予定はどう?」

最近は、日曜に何か予定が入ってる方が珍しかった。

全く乗り気のしない私は適当に「あ、はい」と答えた。

「じゃ、決まりだね。明日、キャンプ場を予約するらしいから女学生達に伝えておくよ」

女学生達が私が参加することで「ありがためいわく」ではあっても「ありがたい」とは絶対思わないだろうとわかっていた。

女学生達の様子を見てまた明日決めよう。

車は夜の高速を飛ばし、琉の住む家を目指す。

途中、サービスエリアで軽く晩御飯をすませて帰ると、琉はソファーに倒れ込みそのまま寝てしまった。

琉の肩にそっとタオルケットを掛け私は明日の仕事の準備に取りかかる。

ソファーに横たわる琉を見ながら、きっとこれは琉の日常光景だと感じる。

この穏やかな流れがいつまでも続きますようにと祈らずにはいられなかった。


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