君の思いに届くまで
琉の作ってくれた朝食はとてもシンプルだったけどおいしかった。

窓から差し込む柔らかい朝日がダイニングテーブルを揺らしている。

食べ終えて、2人で洗い物をした。

目が合う度に、琉は優しく微笑んでくれる。

お皿を拭きながらまるで新婚みたいだ、なんて思いながら1人くすぐったい気持ちになった。

こんな素敵な時間はどれくらい続くんだろう。

3日間の滞在予定。もう既に1日は終わってしまった。

琉の車でウィンザー城へ向かう。

「ここは今でもエリザベス女王が週末訪れて過ごしているんだ。未だに住居として使われているお城は珍しいんだよ」

赤茶色のお城は、歴史の古さを物語る重厚な雰囲気を醸し出していた。

琉にお城の中を説明してもらった後、城の裏手にある広大な公園を散歩する。

公園には美しい川が流れていて白鳥がたくさん水浴びをしていた。

「なんて素敵なの」

思わずその美しい光景に目を奪われる。

「気にいった?」

琉は繋いでいた手を外し、腰に手を回した。

腰に手を回されるのはまだ慣れなくて歩き方がぎこちなくなる。

そんな私を見て琉はくくくと笑った。

「もう少し練習が必要だね。いくらでも練習に付き合うよ」

「腰は苦手。手を繋ぐ方が好き」

私はむくれた顔をしながら、琉が腰に回している手をほどき私の手を握らせた。



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