バレンタイン・プレゼント
それが、オリーブオイルやアルガン油といった、天然成分で作られた手作り石鹸とか、モロッコミントティーといった、とても素朴な品ばかりで、「値段もそんなにしない」と如月さんから言われたこともあって、私も「そんな・・」と恐縮せず、「ありがとうございます」と言って素直に受け取ることができた。
「これを見たら霧野さんのことを思い出した」とか「こういう石鹸は君にピッタリだと思って」と言われたのはちょっと「?」だったけど・・。

たぶん如月さんは私に対して、石鹸のような「素朴で淡い女」だという印象を抱いているんだろうな。
確かに私には、香水といった華やかで、女らしく甘い香りに満ちてるイメージなんてないから。
でも、「石鹸は手作りだから、一つ一つ形や大きさが微妙に違う」と言っていたっけ。
だから、私にもそういう「隠れた個性」のようなものを感じ取ってくれたのかも・・・なーんて!
如月さんが私のことをそんな風に特別視なんてしてるわけないでしょ!

そんな私たちの関係が大きく変わったのは、それから5ヶ月近く経った、クリスマスイブの夜だった。

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