バレンタイン・プレゼント
あのとき如月さんが話していた「エリちゃん」は、たぶん石本恵理さんだろう。
いかにも年下の女の子に話すような口調だったし、優しい感じは相変わらずだった・・・。

残念、という気持ちはわかなかった。
惨めな気持ちにもならなかった。

ただ・・・現実を見せつけられたような気はした。

でも、如月さんくらい仕事ができるエリートな男性の結婚相手は、「次期社長の座に最も近いところにいる」と言われている石本専務の娘さんの方が、存在感の薄い一事務員である私よりも相応しいわよね。
自分にはもう身寄りがいないことを、私は決して卑下してはいないし、如月さんだって、そのことを蔑視なんてしてはいないことくらい、私にも分かってる。
でも・・如月家と石本家の方が、家柄的にも絶対つり合いが取れていると思う。

< 45 / 67 >

この作品をシェア

pagetop