バレンタイン・プレゼント
・・・嘘みたい。でも嘘じゃない。
だって、今、私が感じているのは、如月さんのがっしりした体と、温もりと、そして私自身の、忙しない鼓動が、ドキドキ、ドキドキって・・・。
左手の薬指にある指輪の感触だって夢じゃない。本物だ。

これは、ロマンチックな夢を見てもいいって・・ううん、ロマンチックな私の現実なんだよね?

「愛してるよ。かすみのこと、愛してる。俺と結婚してほしい。おまえのこと、絶対幸せにする。だから・・」
「・・・ぅ・・・っ・・・」

ずっと好きだった人から、プロポーズされた。
心の底からたくさん愛している人が、「愛してるよ」と言ってくれた・・・。

私は嬉しくて・・ただ嬉しくて。
ボロボロ涙を流しながら、如月さんのワイシャツに額を擦りつけるように何度も頷いた後、やっと「はい」と返事をした。

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