くるみさんの不運な一日
ボーッとして、痛み(しん)が奥にあるような頭痛が消えていく。


その気持ちの良さに改めてホッと息を吐いた時、天川智明の指先がサラリとあたしの髪を()いた。


だからハッとした。


何してんだってようやくそこでハッとした。


いくらぶっ倒れた後だからって、何で天川智明とこんなにまったりしてるんだって、自分に呆れた。


天川智明は天川智明なのに。


今、どれほど優しくしたところで、天川智明なのに。


何をどうしたところで、彼女がいる――のに。


「さて、と」
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