素直になれない、金曜日

水曜日のアイレント

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図書室の前方にはホワイトボード。
その前に立った委員長先輩が号令をかける。



「それじゃ、委員会はじめまーす。きりーつ、れーい」



水曜日の放課後、いつもは委員会の作業はない日だけど、今日は特別に収集がかけられて全員集合している。



「えーっと、この前の定例会のときにも言ったんだけど今日は文化祭の出し物を決めたくて」



この前の定例会といえば、あの不審者騒動のときだ。




『次回の委員会で文化祭について決めるから、各自で案を考えてきてほしい』




学校からの不審者情報の一斉送信メールが来る直前までその話をしていたんだよね。


私たちの学校の文化祭では、クラスごとの出し物に加えて委員会ごとでも展示や模擬店をすることになっているらしく。


秋にはもう文化祭だから、そろそろ決めなければならないみたい。





「新しい案がなかったら例年通りスタンプラリーになるんだけど、どう?誰かいい案ない?」




委員長先輩の問いかけもむなしく、図書室がしんと静まり返った。


こんなに静まり返るとは思ってなくて、面食らう。

てっきり、みんな考えてきているものだと思ってたから。



机の上に置いたルーズリーフを隠すように、そっと手のひらを重ねるとカサリ、と乾いた音がした。



「ごめん、この前の不審者騒動で文化祭のことすっかり忘れてて考えてこれてないわ……」


「私もー」



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