素直になれない、金曜日
(3):

きっと、夏の暑さのせい

.
.


ジリジリと照りつける日差し、額にはじわりと滲む汗。

うだるような暑さで、気が滅入ってしまいそうなものだけど、私はその反対でうきうきしている。


うきうき、というよりは、そわそわ、の方が正しいかもしれない。




────夏休み真っ只中の8月中旬。



学校の課題に追われつつも、家族旅行に行ったり、買ったまま読めていなかった本を読破したり、気になっていたカフェでまったり過ごしたり。



それなりに夏休みを満喫してはいたけれど。



そんなここ数週間の生活のなかで、私は隠しきれないフラストレーションを抱えていた。



────夏休みに入ってから、砂川くんに一度も会えていない。



嬉しいはずの夏休みなのに、それだけのことで私の世界は色を失くしたようで。


長い夏休みが余計に長く思えて、つまらないなあ、なんて。

はやく終わってしまえ、なんて思ったのは初めてだ。



会うための理由を探さないと会えない今の関係が、もどかしくて、少し切なかった。



そんな昨日、委員長先輩が委員会の招集をかけて。今日は、久しぶりの登校日なんだ。


旅行中だったり、夏期講習だったりで、どうしても来れない人を除いて全員集まる予定。



砂川くんもグループで、 “行けます” と返信していたから、きっと来るはず。


たったそれだけで浮ついてしまう心は、もう完全に砂川くんにとらわれている。



< 205 / 311 >

この作品をシェア

pagetop