素直になれない、金曜日
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[ 砂川くん、砂川くん。あのね────── ]



昼休み、中庭で。

はやる気持ちを抑えながら、ケータイの画面をタップして砂川くんへのメッセージを送信した。




文化祭のクラスでの出し物、勇気を出して手を挙げたら、私の出した案に決まったよ。




どうしても砂川くんにいちばん最初に教えたくて、でも、教室だと落ち着いてメッセージを送信することができなくて、わざわざ中庭まで出てきたんだ。



そうまででもして、いちばんに伝えたかったのは、ぜんぶ砂川くんのおかげだから。


砂川くんがいなかったら、今日も私は俯いているだけだったと思ったから────





砂川くん、ケータイ見ないかな。

このメッセージを読んで、砂川くんはどう思うだろうか。



そわそわした気持ちで中庭の銅像の前を行ったり来たりを繰り返していると。




「ひより?」



訝しげな恭ちゃんの低い声が鼓膜をくすぐった。



「何やってんの、そんなとこで」




恭ちゃんこそ、と言いかけてその台詞は飲み込んだ。


恭ちゃんの手には、購買のパンの袋。

購買に行って教室に帰る途中だということが、見てすぐにわかったから。




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