素直になれない、金曜日


砂川くんから返ってきた、たった二文字の相槌を噛み締めた。


久しぶりに、会話が繋がった。
それだけのことが、嬉しい。


ふわふわとした気持ちを持て余しながら、皆が来ないから仕方なくふたりで作業をはじめる。




「これはこっちで……、あの机はこっちに運ぶのかな」

「たぶん、これはあっちだと思う」




さすがにセッティングともなると、会話なしでは作業は進まない。

それに、今日はあからさまに避けられたりはしなくて、ほっとした。



ふたりで着実に準備を進めていくうちに、クラスの準備が終わった委員会のメンバーが少しずつ増えてくる。


図書室が賑やかになってくると、役割分担をして私は本棚の上の方を整理することになった。


机の上に椅子を載せて、その上に立ってぎりぎり届くような位置の本棚を慎重に整理していたのだけれど。


ふいに、抜き取った本が予想以上に重くて、身体の軸が傾いた。



「っ!」



落ちる、と思ったときにはもう遅くて、空中に足が浮いた感覚に、きゅ、と目を瞑る。

それから床に叩きつけられる痛みを待っていると。




「……っぶな、」




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