包み愛~あなたの胸で眠らせて~
広海くんの質問に答えないではぐらかしてしまったのは悪かったと思うが、まだ今はその答えを話せる勇気がない。それを話すと長くなるし、辛かった過去もよみがえってしまう。

それからの私は不自然なくらい広海くんをオフィスでは避けた。もちろん業務は引き受けるが、それ以外の話を彼がしそうになるとそれを先に察知して、様々な言い訳をして逃げた。

業務で話しているだけでも、高橋さん以外の女性社員数人が探るように見ていたから、とにかく避け続けた。


「社員の方から聞いたんですけど、池永さんと片瀬さんが怪しいって」

「えっ!そうなの? それ、どんな噂になっているの?」


どんなに頑張って避ける努力をしていても噂になってしまうなんて……。

給湯室でたまたま会った星野さんからの話に驚いた。何がどう噂になっているのか、確認しなければならない。

もう1週間も避けているのに、噂になるとは私の取った行動は間違えていたのかもしれない。

洗剤を流したカップを拭き終えた星野さんは腕組みをして、渋い顔をする。
< 105 / 211 >

この作品をシェア

pagetop