包み愛~あなたの胸で眠らせて~
砕けた話し方ももちろん嬉しいけど、誤解されそうだ。

私たちの関係を幼なじみ、元同級生だと説明しても理解してもらえないかもしれない。

できることならば、誤解されるようなことは回避したい。

食べ終えた私は、話しかけた。


「デスクの上に置いてあったデータの入力まだやっていなくて」

「ああ、あれは今日中にやってくれればいいよ。でもさ、前から思っていたんだけど、なんで派遣なの? 正社員で就職出来るよね?」

「えっ、ああ……それは……あ! 課長が外出する前に確認することがあったんだった。ごめんなさい、お先に」

「は? ちょっ……」


広海くんも同じように食べ終わっていたが、一緒に出るのを避けたかったから素早くトレイを持って動いた。

広海くんと一緒に歩いたら、さらに目立ってしまう。

今朝はオフィスまで並んで歩きたかったと思ったが、そんな気持ちは撤回だ。業務以外で近付くことはやめよう。

私の素早い動きに広海くんは一瞬唖然としていたが、追うように動いてきたのが視界の端で見えた。追い付かれないようトレイを返却口に置き、小走りで食堂を出た。
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