包み愛~あなたの胸で眠らせて~
「もしかして、片瀬さん?」

「はい、今日から来ました片瀬紗世です。よろしくお願いします。それで突然ですが、庶務的なことを教えてもらってもいいですか? 今お時間は大丈夫でょうか?」

「えーと、ちょっと待ってもらえますか?」

「はい」


小池さんはある女性のもとに歩いていった。そして、その人を連れてこちらに戻ってくる。


「こちら、星野さんです。ご存じですか?」

「はい、私と同じように今日からなんですよね? はじめまして、片瀬紗世です」

「はじめましてー。私は星野凛子(ほしのりんこ)です。よろしくお願いしまーす」


星野さんは肩にかかる長さの髪をふわっと内巻きにしていて、くりっとした丸い瞳とふっくらとした柔らかそうな唇が印象的だ。彼女は首を右に傾けてかわいく頬笑んだ。

服装は薄いグレー色のスーツ。やっぱり初日だからスーツにしたのだろう。

きりっとして落ち着きのある小池さんに、ふにゃとした柔らかい雰囲気をまとった星野さん。なんとなく対称的な二人だ。

国内事業課の方が社員の人が多いので、派遣社員も二人となっている。

小池さんはまず私たちを給湯室に案内してくれて、来客があった時に使うカップや飲み物の保管場所等を説明してくれた。
< 11 / 211 >

この作品をシェア

pagetop