包み愛~あなたの胸で眠らせて~
嫌悪感をあらわにした顔の彼女をサポートするなんて、出来ることなら断りたい。だが、部長の指示を断ることは出来ない。


「部長。私一人でやれるところまで頑張りますので」

「いや、やれるとこまでじゃ間に合わないんだよ。池永くんは午後から会議もあるから無理だしね。片瀬さんがいてくれてよかった、よかった」


部長は安心したように微笑んだ。

しかし、私がいることをよく思っていない人にそんなことを言わないでと欲しい。案の定、すごい形相でこちらを見てきたではないか……。

だけど、私だけでなく彼女も部長には強く反論出来ない。かなり渋々といった感じで、了承していた。

とりあえず時間がないということで、私はミーティングルームでICレコーダーを聴く。渡部さんはあとから行くと言っていたが昼休みに入る数分前にやって来た。

しかし、彼女はドアのところから動かない。


「ごめんね、遅くなっちゃって。私、他にもやることがあるから片瀬さんひとりでやってくれない?」

「え、私一人でですか?」

「そう。私と違って有能なんだから、そんなの簡単でしょ?」

「いえ、そんな……」

「頼んだわよ」
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