包み愛~あなたの胸で眠らせて~
「うん、そうだよ。紗世、このブランド、知ってる?」

「ええっ! 本当に? 私、ここの服好きで、いくつか持ってるよ」

「お客さんだ。いつもありがとう。じゃあ、うちのアプリも知ってるよね? そこから欲しいのがあったら、広海経由で教えて。社員価格で買えるから」

「わあ、ほんと? 嬉しい! もう秋服が出ているよね。この前も見ていて、いいなと思ったのがあったの。安く買えるなんて最高!』


私が興奮して答えると、聞いていた三人がよく似た表情で笑う。こうやって見ると親子なんだなと思う。

しんみりとしていた空気が和やかなものに変わったけれど、笑われてしまうのは少々複雑だ。

「紗世ちゃんは子供の頃と変わらなく、素直でかわいいわね」とおばさんが言う。

「本当に無邪気でかわいいな」と直海くんが言う。

「うん、まあ、かわいいね」と広海くんまでもが苦笑気味ではあるが、同意する。

なんだか成長していないように言われたみたいで喜んでいいのかどうなのかとなんともいえない気持ちになった。

でも、『かわいい』と言われて悪い気分にはならない。

ちょっと照れくさいけれど。
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