包み愛~あなたの胸で眠らせて~
夜、誕生日パーティーを終えてから、手紙を古いものから読んでいく。

広海くんは読んだあと、私にも読んで欲しいと渡してきた。並んでひとつひとつに目を通した。

手紙は毎年一枚とそれほど長くはない。でも、どの手紙にも広海くんの成長を願い、広海くんの日々を心配していることが書かれていた。

毎年ほぼ同じことを書いてはいるが、それだけ広海くんを想っていたことが分かる。

無言で読み進めていく広海くんをちらりと見る。目をそらすことなく真剣に読んでいた。何を思っているのかは分からないけど、彼の母親に対して凍っていた心はきっと溶けてきているだろう。

全部を読み終えて、小さく息を吐く。私は彼の手をそっと握った。


「俺もずっと母さんのこと、忘れたことはない。拒絶されて、傷付いたけど、それでも……忘れることは出来なかった」

「うん。お母さんも同じだったね」

「父さんと母さんのもとに生まれてきて良かったと初めて思えたよ」
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