包み愛~あなたの胸で眠らせて~
「ちょっと、足を乗せないで。ん? このチョコどうしたの?」

「バイト先の人がハワイに行ったからとお土産でくれた」

「三つも?」

「うん、買いすぎちゃったらしくてさ、持ってかえってというから」


ハワイ土産の定番といわれるマカデミアナッツチョコレートが三箱、テーブルに置いてあった。消費期限は長いが、二人で食べるのに多い量だ。

チョコか……広海くん、食べるかな?

今日得たばかりのチョコ好き情報が脳内に浮かぶ。

もしこれを多くもらったのでお裾分けと、広海くんにあげたら喜んでもらってくれるだろうか。

喜ぶ顔が全然想像出来ないけど。


「どうしたのさ、じっと眺めちゃって。食べたかったら食べていいんだよ」

「ううん……食べたいなと思ってるんじゃなくて、今日広海くんがチョコ好きだと聞いたから、なんか考えちゃった」

「考えた? 三箱もあるんだから、あげるならあげてもいいよ。今から渡してくれば?」

「でも、いきなりあげても迷惑かもしれないしね」


ひと箱手に取ってはみたけど、すぐテーブルに戻す。そんな私の行動を湊人は不思議そうに見ていた。
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