不埒な先生のいびつな溺愛
「……伏見さん。忘れられない相手って、いらっしゃったことありますか?」
「ないですね」
「え」
あまりにも即答だったため、私は一瞬先生のことは飛んで、伏見さんを見た。
彼は笑っていた。
「そんなドラマチックな思い出はありませんよ。秋原さんにはあるんですね。羨ましいなあ」
「い、いえ、聞いてみただけです」
「どんな方なんですか?」
恥ずかしい。伏見さんに見抜かれている。
先生とはあまりにも違う、停滞することなく流れていく会話に、私は戸惑っていた。私は答えるしかなくて、どんどん情報を引き出されていくのが分かった。
「昔、お互いがお互いのことをすごく理解して、必要としていると、そう思っている人がいました。その人とは突然別れがやってきたのですが、連絡先も交換していなかったので、連絡をとる手段もなく、その後会うこともないと思っていたんです」
「はい」
「でも十年以上も後に再会することになって。そしたらその人は、違う人みたいになっていたんです」
「どんな風に?」
「……理解し合っていたころは、恋人でなくてもきっとお互い特別な存在だと思っていたのに、彼にとって私は、まったくそんな存在じゃなかったみたいで。今まで私の目に映っていた彼は、全部幻だったように感じたんです。側にいても、まるで全部、嘘みたいに」
「ないですね」
「え」
あまりにも即答だったため、私は一瞬先生のことは飛んで、伏見さんを見た。
彼は笑っていた。
「そんなドラマチックな思い出はありませんよ。秋原さんにはあるんですね。羨ましいなあ」
「い、いえ、聞いてみただけです」
「どんな方なんですか?」
恥ずかしい。伏見さんに見抜かれている。
先生とはあまりにも違う、停滞することなく流れていく会話に、私は戸惑っていた。私は答えるしかなくて、どんどん情報を引き出されていくのが分かった。
「昔、お互いがお互いのことをすごく理解して、必要としていると、そう思っている人がいました。その人とは突然別れがやってきたのですが、連絡先も交換していなかったので、連絡をとる手段もなく、その後会うこともないと思っていたんです」
「はい」
「でも十年以上も後に再会することになって。そしたらその人は、違う人みたいになっていたんです」
「どんな風に?」
「……理解し合っていたころは、恋人でなくてもきっとお互い特別な存在だと思っていたのに、彼にとって私は、まったくそんな存在じゃなかったみたいで。今まで私の目に映っていた彼は、全部幻だったように感じたんです。側にいても、まるで全部、嘘みたいに」